お茶のひととき 7

 闇よ詩よ俺の心を聴くものは火の同類でなければならぬ

                        

                                 依田仁美

 

                        『乱髪 Rum Parts』~「思弁的整合」

 

「闇」や「詩」に象徴される、作者の意識下、無意識下にあるパトスに耳を傾けるものは、火という熱くもえさかるものと同じくらい激しく熱くなくてはならない・・・。

 

この作者の歌は、一言で言って、一貫して「男気」が溢れている。誰にも真似のできない独特の言葉選びで、こちらが快哉を叫びたくなるようなスカっとした歌を詠む。空手道、剣道、居合道に通じ、武術で鍛え抜かれた作者の魂から迸る歌は男らしく激しい。またウイットに富んでもいる。

 

実はこの作者は私が結社『短歌人』に在籍していたときの大先輩であった。いつぞや、作歌の苦しみといったことを暑中見舞いの葉書に書いてお送りさせていただいたところ、「最初は模倣でもいいのです」と、アドバイスを下さったことがある。そのお言葉に初心者の私はずいぶん助けられた。そのブレない侠気溢れる歌ぶりに心酔し、尊敬している先輩歌人のおひとりである。(綾)