お茶のひととき 6

 直立せよ一行の詩 陽炎に揺れつつまさに大地さわげる

 

                        佐佐木幸綱 

 

                    『直立せよ一行の詩』~「直立せよ一行の詩」

 

佐佐木幸綱の初期作品の代表歌。詩は当然「うた」と読む。作者自身の短歌、あるいは短歌全体に「直立せよ」と詠むこと、それは短歌が他の要因に寄りかかることなく、一首として独立せよ、という作者の決心であるか。そしてそれは、陽炎に揺れる大地がまさにさわぐほどの衝撃である。短歌の一首としての独立性は、それほどのものでなくてはならない・・・。さらに詞書では、初期万葉の歌人たちの政治的葛藤、願い、挫折が飛鳥甘橿丘に立った作者の胸に去来したとあり、直立せよ!直立せよ!と叫ぶように書かれている。万葉歌人と作者の姿がだぶる。

 

短歌を詠むときは、頭に浮かんだ言葉の断片を短歌ノートに書き留めて、あとでいろいろひねる、ということが多い。しかし、私は珈琲が好きなので、喫茶店でじっくり短歌を詠むことも多い。喫茶店選びには苦労する。静か、座席が広い、携帯で話す人がいない、珈琲がたっぷり出てくる、以上の点をクリアする喫茶店が私の住む界隈に一軒だけある。某チェーン店で、同じチェーン店でもここだけがなぜか静か。単価が安いところも大いに気に入っている。さあ、短歌を詠み、第二歌集へ向けてさらなる精進を!(綾)